江國さんの描く女性たち

難しそうなことをしようとすると失敗すると分かったので、わたしの大好きシリーズです。

江國香織さんの、きらきらひかる

数年前にブックオフで内容も知らず買って、少し読んだのだけどなぜか読み進めることができずに放置してありました。今年の夏、青森へ行く新幹線の中で読破しました。1人で何度もうるうるしました。

江國さんの小説に出てくる主人公たちは、皆すごく強いです。(今思い浮かべているのは、きらきらひかる冷静と情熱のあいだ、東京タワー、落下する夕方)恋愛、と言うと安っぽく聞こえますが、その種の感情に対してとても勇敢に行動します。そして、決して正当な幸せを手に入れたりはしません。他に、もっと楽に幸せになれそうな道があったとしても。あくまで、それがどれだけ険しい道、寂しい、或いは間違った選択に思えても、自分がこうすべきだ、こうしたいと決めたらつき通します。例えそれが周りの人を傷つけることになったとしても。

それを、静かで淡々としつつ、淡々としてるからこそ艶やかな文章で表現してしまうのです。

江國さんの小説は、基本何も起きません。あっと驚く種明しも、壮大なスケールもありません。修羅場らしい修羅場もあまりありません。何か事件が解決することもありません。クスッと笑えることもあまりありません。

ただ、とても非現実的です。とんでもないSFよりもっと非現実的なんです。

アル中の女性と同性愛者の医者が結婚して、しかも医者には恋人がいてその恋人とアル中がお互いの存在を認めてて、医者はアル中に恋人を作って欲しい、と言う。何が何だか分からないほど非現実的です。

ただ、そんなことはどうでもいいんです。実際に主人公たちの生活が現実世界の中で成り立つかなんて問いは愚問なんです。

問題はそこでは無いんです。その非現実的な設定の裏側にある、どこまでも深く相手を想う気持ちが江國さんの描きたいことだと思うんです。どんな状況に置かれても、何があっても相手の存在自体を愛することのできることのできるとてつもなく純粋な気持ちです。

そんなかけがえのないものが皆さんは現実世界に存在すると思いますか?

わたしはと言うと、実は一番非現実的なものは、摩訶不思議な設定よりも、そのまっすぐな濁りの無い気持ちなのだと思ってしまうんです。でも、そんなことを想うからこそ、恐らくとっても深く心に染みるんです。